市民の憩いの場として人気のある西東京市西原町にある西原自然公園(通称、樹林)。武蔵野の雑木林の面影を残した公園です。
先日、伐採材の取材に伺ったのですが、この自然豊かな雑木林を維持・運営していくには、大変な紆余曲折があったそうです。

老いていく木々。人が寄りつかない林を変えよう
市のみどり公園課 課長の山本さんにお話を伺いました。

西東京市市役所 みどり公園課 山本 一彦さん
「西原自然公園は2ヘクタールという広さがあります。もともと新座のほうから広がる広大な雑木林だったのですが、時代とともに年々その面積を失っていきました。この自然を残そうと市民の間から声が上がり、「西原自然公園」として市が運営するこになりました。
市は一応公園の形にするため、園路をつくったり、ツツジや金木犀を植えたりしましたが、それ以上の方針はなく、できるだけ手を入れないで自然の生態にまかせるように考えていました。手をかけないことで自然が形成されると思っていました。
ところが、雑木林自体は、もともと人工のものです。そのため、放っておいたことによりさまざまな弊害がでてきました。
林というのは、放っておくとどんどん木は老いていきます。現在植えられたままの木は樹齢50年くらいになっており、一時は公園も暗くて人が寄り付かない「危険な場所」になりそうでした。
伸び放題の木は、どんどん背を伸ばし、地面に日が当たらなくなり、下草は枯れ、じめじめした暗い林になってしまいます。また、樹齢が50年にも達すると木は立ち枯れを起こし、倒木の恐れもあります。しかし、雑木林の管理や育成には、専門的な知識がなくてはならず、どこの自治体も放置しているというのが現状なのです。
ですが、西原自然公園では「西原自然公園を育成する会」というボランティアの方たちの協力で、他の市にはみられない民間のボランティア団体と市が協力し合って管理・運営している成功例の雑木林になりつつあります。」
実は、私も近隣に住んでいますが、我が家の子供たちも夏になると、カブトムシやクワガタを取りに毎日のように通ったものです。とても身近に感じていましたが、維持していくのには、大変な努力が必要だということを今回初めて知りました。
木を伐採!えっ、なぜ緑を減らすの?
公園の木が切られると「どうして切ってしまうのだろう?せっかくの緑が減ってもったいない」と思いませんか?実際、市にも伐採すると同様の電話がたくさんかかってくるそうです。
武蔵野の雑木林は、「萌芽更新」(樹齢30年程の古い木を切り、その切り株から新しい芽が出ること)という方法で人の手をかけて常に新しい木を育ててきました。現在の公園の木は、すでに樹齢50年を超え老木となり、もはや萌芽更新しても切り株から新しい芽は育たないそうです。そこで、年老いた木を切り、どんぐりから育てた苗木を植え、若々しい雑木林をつくる「若返り作戦」が展開されることになったのです。
他にはない成功例!市と市民団体がタッグを組んだ理想モデル
市民ボランティア団体「西原自然公園を育成する会」。この会には、元東大農場の教授 八木喜徳郎さんが所属しています。八木先生は、北海道の23,000ヘクタールもの広大な森林を始め、全国各地の森林の研究に携わってきた方です。その先生が経験を元に市に、公園の年老いた木を毎年1,000平方メートルずつ切り、新たに苗木を植える20年計画の「武蔵野の雑木林 若返り作戦」を提案。市もその運動に賛同し、予算を立て、この若返り作戦が実現することとなったのです。

育成会の活動で木の根っこの様子をみる八木 喜徳郎先生
この20年計画は、毎年1,000平方メートルを伐採、植栽を行い林の樹木の若返りを図るというものです。
平成16年から始まったこの作戦は、今年で5年目。最初の伐採・植栽の区画は、もう苗が3メートル以上に伸びて見上げるくらいです。こうして、毎年毎年新しい苗木が育っていき、青々とした若々しい雑木林本来の姿を取り戻しつつあるのです。
専門家による計画といっても、自然が相手です。しかも20年という長きにわたる計画ですので、八木先生も「若返り作戦 目的と活動の記録」の中で、「試行錯誤しながら」「様子を見ながら手直しをして進めて行く」と仰られています。前例のない計画に着手した西原自然公園は、本当に稀な例であると言えるのです。
近隣の武蔵野市をはじめ、いくつもの行政や団体が、西原自然公園を見学・勉強会と称して訪れ、育成会の方や市の助言を求めていかれるそうです。

平成17年に伐採、植栽した区域です。伐採後は、地面に日が当たり下草が生え新しい芽吹きを感じます。
あなたの手で、次の世代に自然を残そう!
私たちの子供やその孫の代、その先の代にも、この武蔵野の自然を残していきたいですね。
「西原自然公園を育成する会」の活動日にお邪魔して、みなさんにお話を伺いました。
会では、西原自然公園の樹木の管理、育成を主な活動とし、伐採材を利用したしいたけの栽培も行っています。どうしてこの会に参加されたのですか?と伺うと、みなさん同様に「自然が好きだったので」というおこたえ。「始めは、知識もなかったのですが、だんだんんと勉強したり、みなさんに教えていただいたりして、木について覚えていきました。」「もともと、趣味が山登りで、自然が好きで、気がついたら会に参加していたんだよ」と会長の池田さんも自然体でした。

西原自然公園を育成する会 会長 池田 干城

この日の活動は、3月1日(日)に行われる植栽の準備。
スコップを片手に苗木を掘り出しに向かうみなさん

みなさん手馴れた手つきで、育てた苗木を掘り起こしています。

公園内の木の中で、幹の中が腐ってしまって倒木の危険がある木や、伸びすぎてしまった枝を払ったりするのも会のみなさんの仕事。使ったチェーンソーのメンテナンスも自分たちで行っているそうです。信州・伊那の森林塾に3年通って勉強したという小川さん。

自然公園の伐採した木を利用してしいたけ作りをしています。まだ、この時期は気温が低くて小さいしいたけですが、3月になって気温が上がるとぐ~んと成長して大きなしいたけが収穫できるそうです。

「西原自然公園を育成する会」では、新しいメンバーを常時募集しています。特に知識は要りません。一緒に考え、活動し、この林を大事に思ってくれる方ならどなたでも会に参加できます。平成12年の会発足より活動しているメンバーには、年配の方もいらっしゃるので、力仕事が得意な若い方、大歓迎です。お子さん連れで参加しているお母さんメンバーもいらっしゃいます。自然や木が好きというみなさんの参加をお待ちしています。

自称・晴れ男、晴れ女の集まり?活動日は不思議と晴れるという、西原自然公園を育成する会のみなさん
【西原自然公園の植栽作業に参加してみませんか?】
自分たちの手で植栽した苗木が、20年後には大きな樹木となり、武蔵野の大地に緑を残すことになります。毎年、毎年、自分が植えた苗木が成長する姿をみるのが、なんともいえずうれしいそうです。会では、多くの方の参加をお待ちしています。
とき 2009年3月1日(日)午前10時~正午(小雨決行)
ところ 西原自然公園南側入り口(公園トイレ脇)
問い合わせ 西東京市みどり公園課
【西原自然公園を育成する会】
活動日 毎月1日、および第3土曜日
会 費 年1,000円
資 格 なし (西東京市公園管理協力会員となります)
活動内容 若返りを目的とした活動
伐採、枝打ち、苗木栽培、植樹、腐葉土作り、きのこ栽培、樹木調査、総合学習協力 等
◎西原自然公園
西東京市西原町4-5
◎西東京市みどり公園課
市役所保谷庁舎 〒202-8555 西東京市中町一丁目5番1号
電話: 042-438-4045
この情報は2009年02月26日 10:45現在のものです。
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